本書は、正倉院宝物のなかでも屈指の絵画表現を誇る〈漆金薄絵盤〉について取り上げます。〈漆金薄絵盤〉とは、仏前に据えた香台と考えられる二基一対の宝物で、蓮花をかたどり、三十二枚の蓮弁をそなえます。その蓮弁に描かれた極彩色の宝相華やキンナラ(迦陵頻伽)などの文様は、見る者を惹きつけてやみません。
本書ではこの〈漆金薄絵盤〉について、美術史的観点からの研究を中心に、自然科学的手法による色料の分析、X線CTスキャナによる構造調査など、諸分野にわたる最新の研究成果をまとめています。蓮弁の図様については、今回高精細の画像により、はじめて全体を網羅して提示しています。〈漆金薄絵盤〉の理解を深めるとともに、千二百年以上にわたって守り伝えられてきた正倉院宝物の貴重さと魅力を次代へと継承していく内容となっています。
正倉院宝物の研究
漆金薄絵盤〈香印座〉
2024年10月26日 初版第1刷発行
監修:独立行政法人国立文化財機構・宮内庁正倉院事務所
編集:吉田卓爾
発行:株式会社ライブアートブックス
発売:株式会社東京美術
出版協力:公益財団法人出光美術館
編集協力:小林泰司
アートディレクション:藤本敏行
印刷・製本:株式会社ライブアートブックス
Ⓒ2024 LIVE Art Books Inc.
ISBN 978-4-8087-1323-2 C0072